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技術でみる音楽史 Part7 ジャズ編 その2 ビバップ編

技術でみる音楽史、今回はPart6ジャズ編の続きをやっていきます。



・ビバップ期 (1940~1950年くらい)

えーと、正直に言うと一度記事を下書きしたんですが、
人物紹介ばっかりになっちゃって面白くないので一度書いた下書きを消しちゃいました。

なので、人物紹介はそこそこに別視点で、ビバップ期のジャズという音楽について解説していきます。


まず、ビバップ期のジャズの特徴を一言で表すと
「俺つええーーー!!!!!」です。

さすがにそれだと「何のことだよ!」って感じなので、
もう少し具体的に前回のスウィング・ジャズ期との違いをみていきましょう。




前回のスウィングジャズと何が違うのか大雑把に箇条書きしますと、


・プレイヤーのソロパートが重要になった
・人数が小人数編成になった
・曲の動きが細かい


こんなとこでしょうか。
では上から順に説明していきます。




・プレイヤーのソロパートが重要になった

これを説明する前段階として、まず現代でも使われているジャズのセッション中の曲の進み方の話をします。

ジャズのセッションだとかでよく使われる形式がありまして、
イントロとかアウトロ、エンディングなどを省くと、大雑把に


 テーマ → ソロ → テーマ


という構成になっています。


テーマっていうのは、曲の元の部分。

仮に「ぞうさん」がテーマだと、

「ぞーうさん、ぞーうさん、おー鼻が長いのね。そーうよ母さんもー長いのよー♪」

までの一連のメロディとコード進行。


そして、ソロはそのコード進行をもとに、テーマと同じ長さぶんだけ即興演奏するという形式。


で、もう一度テーマをやってエンディング…という形式。


そしてビバップ期において、この即興のソロパートは演奏バトルみたいな感覚で、
「俺のほうがお前らより強えぇんだよ!俺のソロを聞けぇ!!!」と、いった具合に
いかに上手く即興で演奏するかミュージシャンたちはしのぎを削りあっていました。

これがビ・バップ期の特徴の一つです。




・人数が小人数編成になった

これは文字通りそのまま。スウィングジャズ時代から大幅に人数が減りました。

スウィング時代が何十人という人数で演奏されていたのに対して、
ビバップ期はだいたいドラム、ベース、ピアノ、管楽器各種をふくめても各一人の3~5人ほど。
現代のバンドと同じような編成…と考えると近いです。

スイング・ジャズ期のように大勢だと個々人のプレイヤーの技量よりも全体としての統率のほうが重要でしたが、
少人数になったことによって、前述のように「俺つええーーーー!!!!」ができるようになったのです。



・曲の動きが細かい

ここの解説はちょっと厄介。

ほんのすこし専門用語が続きますので、分からない人は
「俺つええ!!」をするために、より即興部分を複雑にしていったと考えて下さい。


まず『トゥー・ファイブ(IIm-V)』という動きについて。
大半のジャズにおいて、これが曲の基礎になります。さんざん過去の記事で出てきたドミナント・モーションの変形バージョンです。


これは後のハード・バップ期の内容とも被りますが、
バップ期はこの『トゥー・ファイブ』をいじくりまわします。

音楽理論に基いて、いろんな音をソロで使えるようにしたい。という考えのもと、
ソロをより刺激的なものにするために、より曲を複雑に変形させていきました。

たとえばトゥー・ファイブを分解してより細かくしたり、代理コードを用いたり。
さらには代理部分をトゥー・ファイブ化したり。



専門的な話になってしまいますが、
コードの機能のトニックやらサブドミナントよりも、ドミナントで使える音がかなり多く、
『トゥー・ファイブ』の部分は、このドミナントにあたる機能なわけです。

つまり可能な部分をトゥー・ファイブ化させることによって、使える音の数を増やす
というのが主な目的だったわけです。

結果、曲の動きが細かくなり、前述のソロを演奏するうえで、音の選択肢が増え、
より高速で複雑な演奏が可能になりました。


さてここいらで、ビバップ期の代表曲を聴いてみましょう。





Confirmation by Charlie Parker 


言わずと知れた、ビバップ期の王者、チャーリー・パーカー。
この曲でいうと0:44~あたりからがソロのパートです。




Donna Lee by Charlie Parker

これもビバップ期って感じの曲です。高速のフレーズが目立ちます。




Koko by Charlie Parker

こ↑こ↓ パーカーばっかりですが、これもビバップらしい曲。
やはり細かく動く高速のフレーズが目立ちます。

ちなみに『Koko』ってのは"アレなお薬"のことです。実際、チャーリー・パーカーは結構なヤク中だったようです。





「より上手くソロを演奏したい。」そしてそのためには「より自由にソロをとりたい。」

このソロの演奏を中心とした考え方は、ハード・バップ期のジャズへと受け継がれます。





・ハード・バップ期 (1950~1960年代くらい)


ハード・バップ期に関しては「ここからがビバップでここからがハード・バップ!」という明確な線引きが存在しないので、
ハッキリしたジャンル分けができなかったりします。

「1950~60年くらいは、こういう傾向になっていったよ!」ということでどうかひとつ。

まあ、ともかく。ビバップ期よりもさらに「もっと自由にソロをとりたい!」という欲求のもと、
音楽理論的に使用可能な音の模索をし、よりソロを魅せるようなプレイを望んで出来上がったのが
ハード・バップ期という傾向だと思います。


一番の特徴はやはり、テーマ部分のメロディーの単純化だと思います。


演奏家たちは、よりソロを刺激的にするにはどうすればいいのか考えた結果、
「テーマの作りを単純化して、ソロをいじりやすくすればいいんじゃね?」という考えに至ります。

テーマのメロディがキャッチーになった、っていうとわかりやすいかな…?
使う音の数も全体的に減ってたりします。


そして他の特徴としてテーマを単純化したぶん、ソロに力を入れてます。
ソロが長い。とにかくソロが長い。






Jor-du by Clifford Brown & Max Roach(作曲は"Duke Jordan")


わりとハード・バップ期の初めの頃の曲。
テーマがわかりやすいです。





Daahoud by Clifford Brown & Max Roach







Oleo by Miles Davis & Sonny Rollins





なんとなーく、ビバップ期に比べてテーマのメロがわかりやすくなったかなーと思います。





さて…ビバップ期からハード・バップ期までの全体の傾向として、
「より、自由にソロを演奏できるようにしたい。」という欲求が曲に影響を与えていたといえます。


しかし、自由な音の動きをするにあたって、最大の課題がありました。


ロマン派後期あたりの記事を読んでいただけた方だと、もうなんとなーく「あっ…(察し)」って感じで
何が最大の課題なのか予想できているのではないでしょうか?

音楽を次に進める力であり、基礎的な動きの『IIm-V7(トゥー・ファイブ)』そのものでもあり、
調性を決定する重要な要素。


そう。ドミナント・モーションこそが最大の課題だったのです。


というわけで、最大の課題をいかにして攻略しようとしたのか。

次回、ジャズ編パート3。
いよいよここまできたか!『モード編』です。



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